「不動産会社と契約する際、どの媒介契約を結べばいいの？」「いくつか種類があるけれど、それぞれの違いって？」など疑問に思っている人は多いのではないでしょうか。
どの媒介契約を選ぶかで不動産会社の力の入れ方も変わるため、売却金額に差が出る可能性もあります。

ここでは、多くの人が選ぶ傾向にある「専任媒介契約」の特徴やメリット・デメリットについて紹介していきます。

専任媒介契約とは、不動産会社との媒介契約の1種です。他には「一般媒介契約」と「専属専任媒介契約」があり、不動産会社との契約では、3つの中から希望の種類を選択します。

専任媒介契約は、担当する不動産会社1社のみと契約を結ぶため、重ねて他の不動産会社と媒介契約を締結することはできません。ただし、売主が直接買主を見つける自己発見取引の場合は、その不動産会社を介することなく売買契約をすることが可能です。
専任媒介契約では、不動産会社から売主への書面等による売却状況の報告が義務付けられており、頻度は2週間に1回以上となっています。また不動産会社は、媒介契約を締結した日から7営業日以内に、「レインズ」へ物件情報の登録をしなければいけません。レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産情報システムのことで、不動産会社が物件を探すときに最も使用されるサイトの一つです。
専任媒介契約の有効期限は3ヶ月以内となっています。依頼者が希望すれば、契約を更新することができます。

なお一般媒介契約では、専任媒介契約と異なり複数の不動産会社と契約を結ぶことができ、売却状況の報告やレインズへの登録が義務とされていません。専属専任媒介契約は、自己発見取引が禁止になる点、売却状況報告の頻度が1週間に1回になる点、レインズへの物件情報登録期限が5営業日以内になる点で、専任媒介契約よりも制約が強いです。

多くの人が、不動産会社との3種類の媒介契約の中で、専任媒介契約を選択する傾向があります。

専任媒介契約を選ぶメリットとして、不動産会社が力を入れて販売してくれることがあります。なぜなら、一般媒介契約のように、売り主が複数の業者と契約しているわけではないため、不動産会社の営業努力が無駄にならないためです。

一般媒介契約の場合、せっかく時間と労力をかけてプロモーションをしたとしても、媒介契約を結んでいる他の業者が売却したら手数料が入ってきません。プラマイゼロどころか、赤字になる可能性があります。 不動産仲介会社は、仲介手数料によって売り上げをたてているため、手数料が入らなければ意味がありません。仲介手数料は成功報酬のため、自分の会社で売却することができなければ大変な痛手となるのです。

そのため、ライバルの多い一般媒介契約だと自社で売れる可能性は低いですが、専任媒介契約であれば自社でしか取り扱っていないため、ほぼ確実に手数料収入を得ることができます。不動産会社は営業努力が無駄にならないため、それだけ力を入れて販売のプロモーションを行なうことが可能です。

「複数の業者と契約できるから、一般媒介契約の方が有利なのでは？」と思うかもしれませんが、自社で売れる可能性が低いと考えると、極力損失が出ないように労力や費用を抑える業者は多いものです。 力を入れて販売して欲しい場合は、専任媒介契約がおすすめです。

専任媒介契約は、不動産会社が力を入れて販売してくれるメリットがある一方で、デメリットもあります。
それは1社のみに売却を任せることになるため、窓口が少ないことです。

媒介契約を結んだ不動産会社が優秀であれば良いのですが、そうでない場合には売却が進まない可能性があります。
一般媒介契約のように複数の不動産会社と契約するわけではないため、契約した業者の力量次第で売却状況が大きく変わってきます。 そのため、販売力や交渉力がない不動産会社と専任媒介契約を締結してしまった場合は、相場よりも売却金額が安くなったり、売却にかかる期間が長くなったりしてしまうこともあるでしょう。不動産会社のなかには、他社との競走がないことから安心してしまい、逆に営業に力を入れない業者もあるため注意が必要です。

このような業者に依頼することがないように、売却を依頼する不動産会社は慎重に選ぶことが重要です。販売実績や歴史、口コミや評判、担当者、プロモーション方法など、さまざまな要素を総合的に判断して業者を選定するようにしましょう。
優秀な業者との専任媒介契約であればメリットしかありませんが、そうでない業者と契約した場合はデメリットが多くなってしまうことに注意してください。

専任媒介契約のメリットは業者が力を入れて販売してくれることですから、売るのに労力が必要な物件は専任媒介契約を検討した方がいいでしょう。

出典：東日本不動産流通機構
URL:http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2018.pdf

物件の種類によっては、他の物件よりも力を入れて販売活動をしないと、なかなか売却は難しくなってしまうかもしれません。しかし「ほぼ確実に手数料収入を得られる」という、不動産会社にとってのメリットもある専任媒介契約を選ぶことで、しっかりとプロモーションをかけて販売活動に力を入れてもらえる可能性は高くなります。
そのためには、専任媒介契約の持つメリットを最大限に生かす必要があります。ただいたずらに専任媒介契約を締結するのではなく、自身の保有する不動産の特徴と、パートナーとなる不動産会社をしっかりと見極めたうえで、検討するようにしましょう。